
親が認知症と診断されて運転をやめたあと、残った車をどうするか……。「本人の実印と印鑑証明が必要」と言われて、困っている人がとても多いです。まず、分かれ道を確かめましょう。
この記事の結論
- 車の持ち主は親なので、家族が勝手に売ったり廃車にしたりはできない
- 親が「車を手放す」ことを理解できるなら、親が委任状に実印を押して、家族が手続きできる(寝たきり・入院中でもOK)
- 理解するのがむずかしいなら、成年後見(家庭裁判所が選ぶ代わりの人)が必要。車だけでなく、ほかの財産もふくめて考える
分かれ道は「本人が理解できるかどうか」
| 親の様子 | 進め方 |
|---|---|
| 認知症の診断はあるが、「車を手放す」ことは理解して、同意できる | 親が委任状に署名・実印を押し、家族が業者とやりとりする |
| 寝たきり・入院中だが、話は分かる | 同じ。書類は家族が取りに行ける(下で説明) |
| 理解するのがむずかしい(自分の財産のことが分からない) | 成年後見を家庭裁判所に申し立てて、後見人が手続きする |
気をつけること:理解がむずかしい親の代わりに、家族が委任状に署名したり、実印を勝手に押したりするのは絶対にやめてください。あとで大きなトラブルになることがあります。どちらか迷うときは、かかりつけ医や、地域包括支援センターに相談しましょう。

知恵袋にも「所有者がお父さんなので、同意がないと処分できない」という回答がありました。本人の気持ちを確かめることが、いちばん最初です。
本人が同意できる場合:必要な書類(普通車)
親が手放すことに同意できるなら、家族が手続きを進められます。廃車買取などの業者に頼む場合、ふつうは次のような書類を用意します。
チェックリスト
- □ 車検証
- □ 親の印鑑証明書(発行から3か月以内)
- □ 親の実印を押した委任状(業者がひな形をくれる)
- □ 売る場合は、親の実印を押した譲渡証明書
- □ 車検証の住所と、今の住所がちがう場合は、つながりが分かる住民票など
- □ ナンバープレート(業者が引き取りのときに外すことが多い)
寝たきり・入院中でも、書類は家族が取りに行ける
- 印鑑証明書:多くの市区町村では、親の印鑑登録証(カード)を持っていけば、家族が代わりに取れます(市区町村によって条件がちがうので確かめてください)
- 委任状:業者から届いたものに、親が署名し、実印を押します。病院や施設で、家族がそばで手伝う形でかまいません
- 親に運輸支局へ行ってもらう必要はありません

「実印と印鑑証明」と聞くと大変そうですが、親が書くのは委任状と譲渡証明書の2枚くらいです。業者に「親が入院中」と伝えると、段取りを教えてくれますよ。
軽自動車の場合
軽自動車は、実印・印鑑証明ではなく、認印と住民票などで手続きできることが多く、普通車より書類が少なくなります。ただし、本人の同意が必要なことは同じです。
本人が理解するのがむずかしい場合:成年後見
親が自分の財産のことを理解できない状態なら、成年後見制度を使います。
| 内容 | |
|---|---|
| どんな制度? | 判断する力が十分でない人の財産を、家庭裁判所が選んだ成年後見人などが代わりに管理する |
| 申し立てる人 | 本人・配偶者・四親等内の親族(子どもなど)など |
| 申し立てる所 | 親の住所を受け持つ家庭裁判所 |
| 後見人になる人 | 家族が選ばれることもあれば、弁護士・司法書士などが選ばれることもある |
| 車はどうなる? | 後見人が、親の財産として、売ったり廃車にしたりの手続きをする |
気をつけること:成年後見は、一度始めると基本的に親が亡くなるまで続き、専門家が後見人になった場合は報酬もかかります。車1台のためだけに使うのは重い制度です。預金や家など、ほかの財産の管理も必要かどうかと合わせて、地域包括支援センターや専門家に相談してから決めましょう。
将来のために:元気なうちにできること
親がまだしっかりしているなら、親が元気なうちに車を手放すのがいちばん簡単です。運転をやめると決めたタイミングで、売却や廃車まで一緒に進めると、あとで困りません。
手放すまで、車はどうしておく?
チェックリスト
- □ 鍵を家族が預かる(本人が運転しないように)
- □ 自動車保険は、すぐ解約せず、運転しない形に変えられないか保険会社に相談する(契約者が親なので、解約にも本人の手続きがいる)
- □ 自動車税は、登録が残っている限りかかる。4月1日の時点で持ち主だと1年分
- □ 長く動かさないなら、バッテリーあがりやタイヤの傷みに注意
自動車税の締め切りについては、3月末までに廃車しないと損?で説明しています。
道具で確かめる
- 書類チェック表 … あなたの場合に必要な書類だけを一覧にします(印刷できます)
よくある質問
親が亡くなったあとなら、手続きは変わる?
はい。亡くなったあとは「相続」の手続きになり、戸籍などの書類が必要になります。くわしくは亡くなった親の車を廃車・売却する手順と必要書類をご覧ください。
認知症の診断を受けたら、すぐに運転できなくなる?
運転ができるかどうかは、医師の診断や免許の手続きで決まります。運転についての相談は、各都道府県の警察の「安全運転相談」の窓口で受け付けています。
業者に「代わりに書いておいて」と言われたら?
本人の署名・押印が必要な書類を、家族や業者が代わりに書くことはできません。そう言われたら、別の業者に相談しましょう。
まとめ:本人の気持ちを確かめてから
- 車の持ち主は親。家族が勝手に手放すことはできない
- 親が同意できるなら、親の委任状・印鑑証明で家族が手続きできる(寝たきり・入院中でもOK)
- 理解がむずかしいなら成年後見。ほかの財産もふくめて、専門家に相談


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